歯科医院の開業資金はどう調達する?4つの融資方法を解説

歯科医院の開業には多額の資金が必要になると分かっていても、実際にどこから融資を受ければよいのか、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。

本記事では、歯科医院の開業時に利用できる代表的な4つの融資方法について、それぞれの特徴やメリット、注意点などを詳しく解説します。

融資方法の違いを理解することで、ご自身の開業計画に合った資金調達方法が見えてきます。ぜひ参考にしてください。

歯科医院の開業では融資を活用して資金を準備する

歯科医院の開業には、通常5,000万円〜1億円規模のまとまった資金が必要です。

資金の使い道は、大きく「初期費用」と「運転資金」に分かれ、初期費用には、物件取得費や内装工事費・設備費などが含まれます。

これらすべてを自己資金だけで賄うのは難しいため、融資を利用するのが一般的となります。

開業を計画的に進めるためにも、早い段階から融資の活用を前提に資金計画を立てておきましょう。

開業資金の相場や内訳については、こちらの記事で詳しく説明しています。
>> 歯科医院の開業資金の目安とは? 資金調達から返済計画までを解説

歯科医院の開業資金に利用できる4つの融資方法

歯科医院の開業時に検討できる融資方法には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、主な融資方法を4つ紹介します。

それぞれの融資方法の特徴や仕組み、注意点などをくわしく解説しますので、ご自身に合った融資方法を検討する際の参考にしてください。

【一覧比較】歯科医院で利用できる主な融資方法

まずは、歯科医院の開業時に利用できる主な融資方法を表で比較しました。融資元や特徴の違いを、大まかにつかんでおきましょう。

公的融資制度融資プロパー融資ノンバンク融資
融資元日本政策金融公庫など自治体・信用保証協会・金融機関が連携銀行・信用金庫などリース会社・信販会社・医療業界に特化したノンバンク会社
特徴・創業者向けの融資制度が用意されている・信用保証協会の保証を付けて金融機関から融資を受ける・金融機関が直接融資・銀行以外の事業者から資金を調達
・審査から資金調達までのスピードが早い
メリット・開業前でも利用を検討しやすい
・金利が低め
・創業時でも利用しやすい
・自治体による金利・保証料の補助がある場合も
・信用保証料が不要
・条件を柔軟に設定できる場合がある
・資金調達の選択肢を広げられる
・医療機器はリース契約での調達も可能
注意点・融資限度額に上限がある・信用保証料がかかる
・審査に時間がかかりやすい
・審査が厳しい
・開業したてでは利用しづらい
・金利や手数料が高くなる場合がある

日本政策金融公庫による公的融資

公的融資の代表格が「日本政策金融公庫」で、創業・開業支援を重点的に行っている政府系の金融機関です。

「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方が利用できる制度のため、開業資金の調達先としてよく選ばれる選択肢の一つといえるでしょう。

参照:新規開業・スタートアップ支援資金

融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金が20年以内、運転資金が10年以内となっています。申込みの際は、創業計画書(事業計画書)を提出し、事業計画の内容について審査を受ける必要があります。

この制度の特徴は、原則として無担保・無保証で利用できる点、自己資金要件が撤廃されている点です。

民間金融機関と比較して金利が低く設定されているため、開業実績のない勤務医にとっても利用しやすいメリットもあります。

一方で、借入限度額に上限があるため、必要資金の全額をこれだけで賄えないケースもある点には注意が必要でしょう。

信用保証協会を利用した制度融資

「制度融資」を理解するには、まずその土台となる信用保証協会の「信用保証付き融資」という仕組みを知っておく必要があります。

信用保証付き融資とは、金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証人となる仕組みです。

借主は信用保証協会から直接お金を借りるわけではなく、あくまで融資の実行元は銀行などの金融機関です。信用保証協会は、借主の返済が滞った場合に金融機関へ立て替え払いを行う保証人としての役割を担います。

保証付融資の中には、都道府県や市区町村などの自治体が関与するものがあり、地方自治体・信用保証協会・金融機関の三者が連携して行うものが「制度融資」です。

たとえば東京都の場合、東京都・東京信用保証協会・指定金融機関の三者連携により、都内の中小企業者が融資を受けやすくなる制度が用意されています。

参照:東京信用保証協会 保証制度一覧

開業したてで実績のない歯科医師であっても、信用保証協会という公的機関が保証人になることで、金融機関は融資を実行しやすくなります。なお、個人事業主の場合は原則として連帯保証人が不要です。

さらに、制度融資では信用保証料や金利の一部を自治体が補助してくれる場合があり、通常の保証付融資よりも有利な条件になることがあります。

ただし、保証を利用するには信用保証協会へ保証料を支払う必要があり、その分のコストが上乗せされる点には注意が必要です。

また、自治体・金融機関・信用保証協会の三者が関わる制度融資は、審査や手続きに時間がかかりやすい傾向があります。

制度融資の内容は自治体ごとに異なるため、開業を予定している自治体の窓口や信用保証協会に、事前に確認しておくとよいでしょう。

銀行・信用金庫のプロパー融資

融資と聞いて、まず思い浮かべるのは銀行など金融機関からの融資ではないでしょうか。

信用保証協会などの保証を介さず、銀行や信用金庫が自らのリスクで直接行う融資のことを「プロパー融資」といいます。

プロパー融資には、信用保証協会のような保証料がかからず、融資限度額や条件を柔軟に設定できる場合があるというメリットがあります。一方で、保証を付けない分、金融機関はより慎重に厳しい審査基準で借り手を審査します。

開業実績がなく、初めての融資でプロパー融資を受けることは一般的ではありません。

まずは保証協会などを利用して返済実績を積み重ね、金融機関から信頼できると判断されてから、プロパー融資への移行を検討していきます。

開業したての歯科医師にはハードルが高いため、事業が軌道に乗ってからの選択肢として位置づけておくとよいでしょう。

リース会社などのノンバンク融資

ノンバンク融資とは、リース会社や信販会社、医療業界に特化したノンバンク会社など、銀行や信用金庫以外の事業者から資金を借り入れる方法です。

銀行融資に比べて、審査から資金調達までのスピードが早い点が特徴です。

また、ノンバンクでは融資以外に、医療機器をリース契約で調達する方法もあります。

歯科医院の開業では、歯科ユニットやCTなどの高額な医療機器の設備費用が必要となります。歯科医院の代わりにリース会社が設備を購入し、医院側は使用料を支払う形でリース契約を結ぶという方法です。

なお、リースは金銭を借り入れる融資とは異なり、設備そのものを借りる契約である点には注意が必要です。

リースを利用する場合、初期費用を抑えて最新設備を導入できるほか、月々のリース料を費用計上できる点もメリットといえるでしょう。

一方で、契約終了後は再リース料を支払うことで契約を延長できますが、所有権が自院に残らないため、使用料を支払い続ける必要がある点に留意が必要です。また、総支払額は割高になりやすい傾向もあります。

歯科医院の開業融資を検討するときに確認したいこと

歯科医院を開業するにあたり、融資の検討は避けて通れません。

ここで大事なのは、「自分はいくら借りられるのか」ではなく、「開業後も無理なく返済できる金額はいくらなのか」という視点です。

自己資金の状況を確認する

融資額を検討する前提として、まず自分がどれくらいの自己資金を用意できるかを把握しておく必要があります。

自己資金の額は融資審査における判断材料の一つとなるため、具体的な借入計画を立てる前に大まかな現状を把握しておくのが望ましいです。

自分の手元資金や準備可能な金額を洗い出し、確認するところから始めてみましょう。

歯科医院の開業資金の目安や自己資金の考え方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
>> 歯科医院の開業資金の目安とは? 資金調達から返済計画までを解説

事業計画と返済計画を整理する

融資で調達した資金を「何に使い」「事業からどのように返済するのか」を整理するのも重要です。

融資を受けるためには、信頼できる開業者であると金融機関に判断してもらう必要があります。

事業計画書は、そのための大切な説明資料です。収支予測や集患戦略を具体的に記載することで、返済能力があると判断してもらいやすくなります。

また、収支予測を立てる際は、開業後の診療収入見込みと返済負担のバランスを事前にシミュレーションし、無理のない返済計画を立てるのも大切です。

自分だけで判断が難しい場合は、歯科医院の開業支援に詳しい税理士などに相談するのもよいでしょう。

まとめ:自分に合った融資方法を選び、開業準備を進めよう

この記事では、歯科医院の開業時に利用できる4つの融資方法について解説しました。

・日本政策金融公庫による公的融資
・信用保証協会を利用した制度融資
・銀行・信用金庫のプロパー融資
・リース会社などのノンバンク融資

大切なのは「いくら借りられるか」ではなく、自己資金を把握し、開業後も無理なく返済できる計画を立てることです。

無理のない資金計画があれば、開業後も資金繰りに悩まされず、診療に専念できます。

資金計画に不安がある方は、開業支援の実績が豊富な当Progress会計事務所へお気軽にご相談ください。

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